一般的に瞑想は心を穏やかにし無心になることで心身をリラックスさせることです。歴史的に瞑想は宗教上の修行のおいて心を静め神への祈りを捧げる際や、神との対話、一体化などの非日常体験を得るための実践法として理解されており、神秘的な行為というものでした。
しかし近年、瞑想がもたらす効果が研究され、一般人でも日常に取り入れることができるものとして認知されはじめました。初めは知識人や有名人などを中心に、今では一般企業の間でも積極的に瞑想を推進しており、実践者は5億人を超えるほどに増加しているようです。今回はそんな瞑想の基本と、瞑想によって得られる効果についてご紹介したいと思います。
瞑想のやり方、より深い瞑想の基本
瞑想のやり方は細かく見ていくと多種多様にあり、瞑想の正しい方法を定義することは難しいですが、今回は三つの基本(調身・調息・調心)をご紹介いたします。これはもともと禅宗の座禅の基本とされる方法論をベースに応用されたもので、初心者にも分かりやすく、実践しやすい瞑想の基本になると思います。
瞑想をするときは、宗教・信仰・しきたり、衣装・法具、食事制限……、どれも必要ありません。また、瞑想の実践は、自分自身の努力の結果なので、誰かを称賛したり、誰かに仕えたりすることも必要ありません。 とても合理的・科学的でシンプルな実践方法です。あいまいなところや神秘的な難解さもまったくありません。誰でも、いつでもどこでもできて、しかも驚くような効き目があります。瞑想の実践ではじめて人間は幸せを得られる、それ以外の道はないとブッダはおっしゃっています。なによりブッダ自身が、この瞑想で最高の悟りに達したのです。
わたしたちは、健康維持が大切だと懸命になりますが、体よりも心をもっと健やかにすることに努力しましょう。
食事に気を使いすぎても食べるもの無くなります。栄養バランスにも限界があります。
神経質になれば、大切な食事が美味しくなくなります。
運動も好きなスポーツは続けられますが、持続して運動するのはなかなか難しいです。
どう気を付けても体は老化して行きます。
食事や運動も大切ですが、心のトレーニングも健康維持の秘訣では。
①調身
調身とは言い換えると姿勢を正すことです。何を持ってして正しいとするかははっきりと決まっていないため、各個人でそう思う姿勢に整えることが肝心です。基本的な例としては背筋を伸ばして床や椅子に座り、全身の筋肉の緊張状態を弛緩させ心身をリラックスできる状態に持っていく方法があります。しかしこれもあくまで一例であり、慣れてきたら自分なりの方法を見つけてもいいと思います。ポイントとしてはリラックスしつつ、緊張感を保つことでしょうか。
②調息
調息は読んで字のごとく呼吸を整えることです。調息についても様々に言われており、何を持って正しいとするかはなかなか難しいところでありますが、呼吸を整えることは、心の乱れを静め、心身の調和、身体機能の向上、などとより良い瞑想効果への鍵となります。一例としては声楽やヨーガ、禅などで実践されている腹式呼吸があります。息を吐く際に腹をへこませ、吸う際に膨らませるといった具合です。調身と併せてリラックスした状態で行いましょう。
③調心
最後の基本になる調心はこちらも字のごとく心を整えることと書きたいところですが、意味合いとしては少し異なります。というのも瞑想状態こそが調心状態とも言え、そもそも容易にそうなれないために整える訳で、もし調心が心を整えるという意味であればそれは意味が通りません。つまり、調心とは調身、調息と並行する概念ではなく、調身+調息→調心という理解で良いと思います。言い方を変えると「身を整え、呼吸を整えれば、自ずと心も整う」とすることもできるでしょうか。ちなみに、座禅の世界には「調身・調息・調心」という呼ばれ方の前に、「端座・調息・致心」という言葉があったそうです。
瞑想がもたらす3つの効果
瞑想の基本理念をご紹介した次に瞑想がもたらす効果についてご紹介します。近年では後述のマインドフルネス瞑想など、科学的、医学的な見地からその効果が実証されていますが、あくまでも個人差があるものとご理解ください。
ストレスが軽減される
軽減されるといってもストレスがなくなる訳ではなく、ストレスに気づくというべきでしょうか。心身を非日常に置くことで、日常にある状態に気づくことができ、その結果それがなんたるかがわかる、あるいは整うと言い換えられるかもしれません。マインドフルネスの分野では一定のストレス軽減結果が実証されています。
集中力が高まる
何も考えないことに集中する。簡単に書いてしまえますが、これもまたなかなか容易にはいきません。しかしそれを自然にできる状態、ないしはそれに近い状態に整えておけば、いざ集中しなくはいけなくなった時に容易に集中力をコントロールできることにつながるかもしれません。こちらも瞑想後に集中力が高まったという実証がなされています。
ポジティブになれる
例えば負の悪循環に陥ってしまいそこから抜け出せなくなってしまうことがあると思います。なぜか上手くいかない、上手くいかないから落ち込む。落ち込むからさらに上手くいかない・・・といった状態。そこから抜け出すため、あるいはそこに陥らないために、まずはその流れに身を任せるのではなく立ち止まってみる。そうすることで思いもよらない解決への糸口に繋がるかもしれません。
簡単!3つの瞑想の種類とやり方
最後に応用編として世界で実践されている代表的な瞑想法についてご紹介します。
サマタ瞑想
サマタ瞑想は仏教の用語「止(samatha)」に元づいた瞑想方法です。「止」の仏教的な意味は、ひとつの対象に心を集中させ落ち着かせるということです。仏教では「止」が深まると、より精神が集中された「三昧」へそして、「禅那」という境地に至ると言われています。対象となるものはロウソクの炎や、呪文、呼吸、音楽など様々で、そこに心を定め集中することでその他をシャットアウトし、心を落ち着かせます。
ヴィパッサナー瞑想
ヴィパッサナー瞑想は、サマタ瞑想が「止観」とされるのに対し「観行」や「観る瞑想法」とも呼ばれます。両者の違いは前者が精神集中による心を鎮める手段といった位置付けであるのに対し、後者は自身の内的な事象(体の変化、感覚、感情、記憶、思考など)を対象として、今という瞬間に集中することで気づくこととされています。またヴィパッサナー瞑想では自己観察を行うことで自己変革へとつなげる方法であるため、より深い集中力が求められ、伝統的にはサマタ瞑想とセット、あるいはサマタ瞑想からのステップアップ修行として実践されてきました。しかし現代では西洋を中心に両者を分けることなく指導する場合も増えているようです。
マインドフルネス瞑想
マインドフルネス瞑想は、上記のようなインド由来の瞑想法から宗教色を取り除きメソッドだけを抽出した瞑想法で、70年代のアメリカに端を発します。宗教色がないため誰にでもわかりやすく、その効果も医学的に実証されており一時期は低迷しましたが、2000年代から有名人や大企業などを中心に改めて注目されるようになりました。宗教的な部分を除けばヴィパッサナー瞑想と同義のものであり、心身の健康や、仕事・学業への集中、実生活の向上などに効果があるとされています。
以上が瞑想に関する基本とその効果のご紹介になります。生きるため、より良い暮らしのために、否応なく慌ただしい日常生活に忙殺されてしまいがちな昨今、いつの間にか本末転倒な状態になってしまうことも少なくないのではないでしょうか。ただそうなってしまったらそこから抜け出すためには、何かしらの代償を予期せず突きつけられるということも大いに考えられます。そうならないため、あるいは今の自分に気づくために瞑想法を取り入れられると良いですね。
『調身(ちょうしん)・調息(ちょうそく)・調心(ちょうしん)』
調身とは身を調える(ととのえる)こと、調息とは呼吸を調えること、調心とは心(精神)を調えること。禅の3つの基本です。
からだ、いき、こころは、密接にかかわっています。心が乱れれば呼吸が乱れる、姿勢が乱れる。他も同じ。 逆に、調えようとしたら、この中の1つから手掛ければよいのです。
こころはなかなか統制できません。ついつい、考えてもしょうがないことを考えぐるぐる。。そして体に変調が。
そんなときに、まず息から、調えてみましょう。 何かボディーワークをやっている方なら、身体から、もありですが、 多くの場合、息が一番簡単です。
心が乱れた時、身体が乱れた時(疲れた、しんどい、姿勢が保てない、どこか痛いつらいなど・・) おなかの底から深呼吸してみてください。
最初は、なかなか深く息ができないかかもしれません。でも、今よりもほんの少しだけ長く、ほんの少しだけ深く。 気持ちよさを感じられたらOKです。