高齢者のむし歯放置は危険
19万人を対象とした大規模調査が示す現実
高齢者の口腔トラブルは「歯の問題」にとどまらず、全身の健康、さらには寿命にまで影響します。 大阪公立大学と大阪大学の共同研究チームが発表した調査結果は、その重要性を改めて示すものでした。
対象となったのは、2018年4月〜2020年3月に歯科検診を受けた 75歳以上の大阪府民 約19万人。 これほど大規模なデータを用いた研究は、国内でも極めて貴重です。
歯の本数と死亡リスクの関係が明確に
研究チームは、以下のように歯の状態を分類し、追跡調査を行いました。
1. 「健康な歯」「治療済みの歯」「未治療のむし歯」に分類
2. 「健康な歯+治療済みの歯」の合計本数を 0本、1~5本、6~10本、11~15本、16~20本、21本以上の6グループに分類
3. その後、2022年3月まで追跡調査を実施
調査結果:未治療のむし歯だけの高齢者は死亡リスクが大幅に上昇
「健康な歯+治療済みの歯」が 0本、つまり 未治療のむし歯だけ の高齢者は、 21本以上ある人に比べて死亡リスクが以下のように増加していました。
· 男性:1.74倍
· 女性:1.69倍
むし歯を放置することが、命に関わるリスクを高める可能性が示されたのです。
なぜ“むし歯放置”が命に関わるのか
単に「噛めない」という問題だけではありません。 口腔内の細菌増加が、全身の健康に深刻な影響を及ぼします。
● 誤嚥性肺炎のリスク増大
むし歯を放置すると細菌が増殖し、唾液とともに肺へ入り込むことで誤嚥性肺炎を引き起こす危険性が高まります。
● 栄養状態の悪化
歯を失うと肉や魚などのタンパク源が食べにくくなり、 筋力低下、免疫力低下、認知機能の低下など、全身の衰えにつながります。
「むし歯を治す」だけでは不十分
寿命を延ばす鍵は“定期的な歯科健診”**
高齢者の口腔ケアは、早期治療と予防が何より重要です。
· 75歳以上の方は 年1回の歯科健診を必ず受ける
· むし歯は痛みがなくても 早めに治療
· 入れ歯やブリッジの 定期的な調整
· 家族も高齢者の口腔ケアに関心を持つ
まとめ:口の健康は“生きる力”そのもの
人生100年時代。 歯を守ることは、健康寿命を延ばし、命を守ることにつながります。 むし歯を放置せず、定期的な歯科健診を受けることが、これからの生活を大きく支える力になります。


