いつもの電車が止まった日
- 島田 愛

- 1月24日
- 読了時間: 3分

皆さんは、いつも乗っている電車が突然止まっていたら、どうなさいますか。先日、私にもそんな出来事がありました。
一月のある朝、根岸線の駅へ向かって歩いていました。駅が近づくにつれ、どこからか聞こえてきたアナウンス。「京浜東北・根岸線は、〇〇の影響により現在全線で不通となっております」
その瞬間、頭の中が真っ白になりました。次に浮かんだのは、「なんで今日に限ってなの!」という、正直な心の叫びです。
さて、どうしましょう。立ち止まっているわけにもいきません。少しの間、頭の中がぐるぐると回り始め、やがて三つの選択肢が浮かびました。
・復旧するのを信じて、駅でじっと待つ・某駅始発の上大岡行きのバスに乗る・鎌倉街道まで歩き、そこから上大岡行きのバスに乗る
改札口を見ると、振替乗車券を求める人々で大混雑。さらにバスターミナルに目を向けると、すでに上大岡行きのバス停には長い列ができていました。
「これでは、どちらも時間がかかりそう…」そう思った私は、とっさに「それなら歩いてみよう」と決断しました。
鎌倉街道まで、早足でおよそ十五分。寒い朝でしたが、無心に歩いていると少し体が温まってきました。ようやく通り沿いのバス停にたどり着いたものの、そこでもやはり人は増える一方。十分ほど遅れてバスが来た頃には、十五人ほどの列になっていました。
そして、ここからが第二の試練です。
目の前に現れたバスは、すでに乗客でぎゅうぎゅうのすし詰め状態。それでもそのバスは、前と後ろ、二つのドアを開けました。合図もないまま、待っていた人たちが我先にと乗り込み始めます。
気おくれしていた私も、「ここで迷ってはいけない」と、思い切って流れに乗りました。人は、追い込まれると本能で動くものなのかもしれませんね。
さらに乗客を増やしたバスは、ゆっくりと走り出しました。途中のバス停でも、乗ったり降りたりを繰り返しながら進みます。早く終点に着いてほしい身にとっては、時間の進み方が、なんとゆっくり感じられたことでしょう。
それでも、なんとか終点に到着。バスから人があふれるように降りていきました。
実は、乗車中ずっと気になっていたことがあります。私は振替乗車券をもらわずに乗ってしまったので、運賃をお支払いしなければ、と思っていたのです。
勇気を出して運転手さんに「あのう、振替乗車券を持っていないので、運賃をお支払いします」と申し出ると、
「あっ、いいです、いいです」と、やさしく笑顔で断られてしまいました。
なんと親切な方でしょう。思わず、心の中で「ありがとうございます」と何度もつぶやきました。
電車が止まり、歩いて、混雑し、少し疲れた朝でしたが、最後にこんな温かい出来事に出会えて、気持ちがふっと軽くなりました。
もしかすると、これがよく言う「小さな幸せ」なのかもしれません。慌ただしい日常の中でも、こうした出来事に気づける心は、年を重ねた今だからこそ大切にしたいものですね。


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